日頃よりプロジェクト結コンソーシアムへのご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。
2016年は、自然災害が多発した年でした。2月の台湾での地震、4月の熊本地震。
6月のヨーロッパでの水害、北海道の内浦湾地震。8月の台風9・10・11号による水害。
9月の台風16号による水害、鳥取県中部地震。11月のニュージーランド地震、福島沖地震。
特に11月の早朝に発生した福島沖地震では、津波警報が発令され、私たちも高台への避難やスタッフの安否確認に追われました。
鳴り止まないサイレン、繰り返されるテレビからの避難指示。
「大きな被害が出ないように」と願う一方、朝方の寒さがまるで5年前のあの日のようで、身体だけではなく、心も震える時間を過ごしました。

大きな災害があるたびに、その地で過ごす方々の平安を祈る1年でもありました。
一方で、11月の福島沖地震が東日本大震災の余震であることがわかると、「まだ3.11は終わっていないのだ」とありありと実感し、昨年のプロジェクト結のキーワードである「自立」について深く考えることになりました。
http://project-yui.org/news/2016
同時に、私達が石巻で取り組んでいることがモデルケースとして役に立ち、継続した支援の重要さや知恵をいかに残すことができるだろうか、と思案する機会でもありました。

私達の石巻での活動は、「復旧」のステージから「復興」のステージに移り、「それがないと多くの子どもが困る」という活動から「それがあったほうが多くの子どもが喜ぶ」という活動に変化しています。

仮設住宅での放課後の遊び場「みんなの場」事業は、ママスタッフによる自主的な運営により週2回程度、実施されてきました。
今年は仮設住宅から復興住宅への転居が進むことが予測されます。
その時々の状況に応じて開催頻度や内容も変えながら、「みんなの場コミュニティ」を続ける予定です。

学校サポートセンターは、2名の常駐スタッフのもと、物品貸出システムの運用と学校図書館のサポート(図書整理)を中心にほぼ毎日続けてきました。
石巻市の公立小中学校には昨年4月から学校司書が配置され始めましたが、55の小中学校に対して配置された司書は3名という状況なので、十分な措置がされているわけではなく、図書整理についてもしばらくサポートが必要とされる状況です。
また職業講話も昨年は3校で実施、多くの方々に協力を仰ぎ、昨年は初めて気仙沼市で実施しました。
石巻市の中学校に勤務されていた教頭先生が、昨年の春に気仙沼市に異動し、着任先でもぜひ職業講話を、という熱意のもとに実現した職業講話でした。

託児事業である「結のいえ」は、昨年4月から湊水産株式会社内で「事業所内託児所」としてリニューアルしました。
湊水産の従業員に限らず他の水産加工業者の従業員のお子さんと、地域のお子さんも託児の対象としています。
今年度は内閣府の「企業主導型保育事業」の助成を受け、石巻の水産加工業の復興と再興を目的とした「結のいえ」へと活動の幅を拡げます。

2016年のテーマであった「自立」は、十分とは言えないまでもある程度かたちになってきました。

6年目である2017年のテーマは、「挑戦」です。

新しいことへの挑戦、うまくいかず途中で諦めてしまったことへの再挑戦。
プロボノが強みであるプロジェクト結のメンバーも、いま一度わたしたちが始めたこのプロジェクトに挑戦しようではありませんか。
「必要とされるから動く」のではなくて、「自ら機会をつくり自分の専門性を果たす」ことに挑戦しましょう。
自分は必要とされていないのではないか、と感じたら、自分が必要とされることに挑戦しましょう。
「それは私がやらなくてもいいよね」と感じたら、「それは私がやることだよね」ということに挑戦しましょう。
「もうボランティアはいいよね、石巻も普通だし」と思ったら、「大きな災害の6年後は、こんな風に変わることができる。それを支えるのは市民である我々ボランティアだ」という実感をもてるような挑戦をしましょう。

賛同者・賛同団体の皆様にもお願いがあります。
一度、石巻にお越しください。私たちの今の活動を、観に来てください。そして、復興への知恵をください。

現地で活動するメンバーも、挑戦しましょう。
今までやってきたことで、不十分なことや不満足なことがあるとしたら、やり方を大胆に変えましょう。
不安なことがあるとしたら、不安があることを伝えることに挑戦しましょう。

発災から2,124日が経ちました。
私たちの目的は、「子どもたちの学びと遊びの機会を、あらゆる組織や個人の協力により、持続的に支援すること」です。
やりたい人がやれることをやれるだけ挑戦しましょう。
本年も一層のご支援、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

2017年1月1日
一般社団法人プロジェクト結コンソーシアム
理事長 長尾彰

#2016年の年頭の言葉はこちら
#2015年の年頭の言葉はこちら

 

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