2016年を迎えるにあたって

日頃よりプロジェクト結コンソーシアムへのご支援、ご協力に心より感謝申し上げます。

2015年は「連帯」をテーマに、これまで同様、仮設団地内集会所での「みんなの場」事業、未就学児の託児と学童保育「結のいえ」事業、石巻市教育委員会と連携し市内の小中学校を対象とした「学校サポート」事業を実施いたしました。
1年間の「結のいえ」の年間利用者の総数は託児2144人、学童1485人とたくさんの方々に利用していただきました。また、10月中旬から1ヶ月間に渡りクラウドファンティング「readyfor」を通じて、「みんなの場」事業の運営費として、60名の方より174万円のご支援をいただきました。これで、約1年間継続した「みんなの場」の事業運営を行うことができます。心より感謝申し上げます。

一方、4年間続けた市外・県外からのボランティアの受け入れ(ボランティア・プログラム)を夏に廃止し、それに伴う石巻事務所の移転、みんなの場の縮小(3つの仮設団地での開催を1つにして継続運営)、この春に結のいえを移転するなど、「やめること」を大胆に決めた1年でもありました。

組織を、団体を運営するものとして、この1年は非常に苦しい1年でした。
助成金や補助金、寄付金の減少に伴う事業の縮小。
目に見えやすくわかりやすい「支援」の形が減り、「復興支援」なのか「ただの支援」なのかの違いが曖昧になる日々。
石巻在住のスタッフも、東京在住のスタッフも、この1年は「私たちがこれをすることに、どのような意味があるのだろうか?」と自問自答すること、あるいはスタッフ同士で話し合うことが多い1年でした。
事業規模の縮小と変化に伴い、苦しいことも多い反面、「できること」「やるべきこと」「やりたいこと」が整理され、石巻スタッフの自立や変化も進みました。

石巻在住スタッフのひとりに、Eさんという女性がいます。
ご主人と2人のお子さまと被災し、自宅が流され、仮設住宅にお住まいになっていました。
2011年の8月、私たちが仮設住宅の集会所で「みんなの場」を始めた時に、小さなお子さまを連れて最初に遊びに来てくれたEさん。
2012年には、「みんなの場」のママスタッフとして、そして2014年には学校サポート事業もスタッフとして関わってくれるようになりました。
そんなEさんがこの冬、市外に転出し新居を構え、4年10ヶ月に渡って暮らした仮設住宅を出ます。それに伴い、プロジェクト結からも卒業することになりました。とても嬉しい気持ちが半分、とても寂しい気持ちが半分。

2016年、震災から5年が経つ今年のキーワードは、「自立」です。
仮設住宅を出て、結を辞めたEさんは、次の街でこの4年間の経験を活かして自立するでしょう。
お子さまたちの転校、自分自身の生活の変化。
でも、大変な時に誰にどんな助けを求めれば皆にとって満足な環境を作れるか、彼女は身を持って体験してきました。
「次の場所」でも、人を支えながら人に支えられる、自立した「支援者」としてご家族や地域で生活を営まれていくはずです。

関東でプロボノとして活躍する「東京班」のメンバーや理事メンバーも、「自立」が進んでいます。
震災のことがメディアを賑わすことは減りましたが、震災のことで石巻にたくさんの友人ができたメンバーも、それぞれの繋がりの中で「自分のすべきこと」に取り組み始めています。震災直後のような、「とにかく何かしたい」という気持ちから、「私がすべきことは何か」ということに、関東在住のメンバーも意識が変化しつつあります。

プロジェクト結としての活動が縮小される反面、それぞれのメンバーが自立に
基づいた行動を通して、「すべきことをする」ということを重視した1年間にしていきたいと思います。

発災から1,757日が経ちました。
本年も一層のご支援、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

2016年1月1日
一般社団法人プロジェクト結コンソーシアム
理事長 長尾彰

#2015年の年頭の言葉はこちら

 

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