期間  :8月6日(土)都内で事前研修、 8月8日(月)~8月 12日(金)
訪問先 :石巻市、南三陸町の小中学校や避難所

第8期は、多くの会社や学校の夏休みと重なったせいか、ボランティア参加者が20名とこれまでの結の日常支援活動の中で最多人数による支援となりました。参加者の内訳は、社会人14名、学生6名。社会人のうち、7名はいろいろな学校から来られた教員の方々、5名はソニー株式会社の社員の方々です。

ソニーは「プロジェクト結」の賛同企業で、会社からの復興支援プログラムとして、6期から結の日常支援活動に社員の派遣を始めました。社内の公募に応えて8期では5名が参加、その中の1人が書いた社内向け活動報告を承諾を得て転載させていただくことになりました。

初めて結のボランティア活動に参加した人がどのような感想を持ったのか、以下をお読みください。(プロジェクト結・編集担当)

8期のボランティアメンバーたち

私たちが参加した第8期は、途中メンバーの入れ替わりもあり多少人数は変動しましたが、ボランティアが20名前後に「プロジェクト結」のメンバーが4名で、これまでの中で一番の大所帯だったそうです。リーダーは結の理事でもありコアメンバーのSさん。心理カウンセラーが本職ですから、私たちボランティアから見ても大変心強い存在です。

8月7日(日)に東京を出発しましたが、まさに世間は、夏休みの真っ只中。参加者は夏休みを利用した大学生や、小学校の先生方が多数を占めていました。企業からの参加者はソニーの社員が多かったのですが、個別に申し込んだため、初顔合わせとなった5名が集まりました。

個人参加が多い中で、私たちは会社のボランティア募集に応えての参加であり、費用は会社が負担し、かつ個人の休暇使用では無く、勤務扱いでの参加であることを話すと、他の参加者からは「羨ましい!」という声もあがりました。

仮設住宅の遊び場に向かう8期のボランティア達

仕分け現場でエール、これから大荷物をみんなで運ぶぞ!

個性あふれるメンバー

最年長参加者は、女性のYさん。還暦を超えた元教師というだけでなく、なんと遠くスペインからの参加でした!曰く「年齢も年齢だし、あなたが行って何ができるの?と日本の友人にも言われたけれど、何かしなければと思って参加しました」とおっしゃっていたのが印象的で、その意思と行動力に頭が下がります。ご本人はとても明るく前向きな方で、思わず惹きこまれてしまう笑顔をお持ちでした。

そのYさん、まだハイハイしている孫娘を育てている女性の体験を、聴く機会がありました。その女性は、津波でお嫁さんを亡くし、息子さんもその後のストレスが強くて精神的にも不安定で、自分たちも大変な思いをしている、と涙ながらに語っておられましたが、同世代のYさんがいらしたからこそ、お話ができたのではないかと思いました。

現役の先生方も多く参加されていました。子どもとの接し方はお手のもので、子どもの名前をすぐ覚えて、どんどんコミュニケーションを取ったり、サラサラっと可愛いイラストも描けるのはさすがです。支援物資の仕分けでも、教育現場ならではの視点で様々な意見を出してくれました。

そして夏期休暇中の大学生たち。その若さとパワーでフットワークよく学校周りをし、重い荷物を運び、子どもと体を動かして遊ぶことにと大活躍です。

参加前には、「現地に行って、自分に何ができるだろうか?」という心配もありましたが、実際に訪れると、「各自ができることをする、そしてそれぞれにあった役割が何かしら必ずあるものなんだな」ということを感じさせられた機会でもありました。

みんなイラスト上手。すぐに結ポスターができあがります

企業人の特性?社風が出る?貴重な「振り返りミーティング」

支援の現場では、臨機応変さもが必要です。言われたことをこなす、という仕事ではありません。日々、常に必要とされる状況が変わりますし、その場でアイデアを出し合いながら改善を加え、自分で考えて 作業していくことが多いからです。

企業人である私たちは、運営面で企業人視点でのアドバイスや支援物資の効率的な仕分け・管理方法のアイデア出しに頑張ったつもりです。

そんな中、結のコアメンバーの1人から、「これまで参加した方々を見ていると、ソニーチームは何かを行う前に、“全体像”と“目的”を求める人が多いのが特徴では?」と言われたのです。で、たまたまその会話を聞いていなかった他のソニーメンバーの一人が、『この仕分けをなぜ行うのか、全体像が見えない!』とまさに指摘通りの台詞を言うという場面があり、みんなで大爆笑となりました。

これは企業人として作業の目的と効果をきちんと示す良い特性なのか、それとも、全体像が見えないと動けないという悪しき体質か?まあ、どちらにしても、夜ご飯の後に毎日行う「振り返りミーティング」で頻繁に出てくる言葉であったことは確かです(笑)。

自分たちで作った朝ごはんは美味しい

夕食の後は大事な「振り返りミーティング」。さまざまな気づきの時間

仮設住宅の集会所での遊び支援を開始!@石巻トゥモロービジネスタウン

8月9日(火)に、トゥモロービジネスタウンという大きな仮設住宅団地の中の集会所で、初めての遊び場を開設しました。

住民の方々もそれぞれに避難所などから引越しをされてきたばかりで、お互い知らない人が多いようです。この遊び場での出会いをきっかけに、コミュニティが出来上がっていくと良いと思います。

前日、炎天下の中で、あらかじめ東京の研修日にみんなで描いた案内ポスターやチラシを掲示したり、配布したのですが、まだまだ人が少ない雰囲気で子どもたちにもあまり出会えず、集会所の存在も知らない方がほとんどでした。こんなことでは誰も来ないかもしれない、という不安がありました。そして当日スタート時間になっても、心配したとおり集会所に住民は一人もいらっしゃいませんでした。

そこで、呼び込み見回りチームと、遊び場準備チームにわかれて、行動開始です。その後、だんだんと人が集まり始めて、結局初日も19人の子どもたちと8人の保護者が遊びに来てくださり、最初はガランとしていた集会所も大変賑やかになりました。

最初はガランとしていた遊び場

やがて子どもたちでいっぱいに!

みんな何を話しているのかな?

遊び場の様子

遊び場では、習字・小麦粉粘土(口に入れても安全です)・塗り絵・お絵かき・カードゲーム・ブロック・身体を動かせるキネクトゲームなどを準備して、それぞれの場所で一緒に子どもたちと遊びます。

ちなみに現地では、校庭や公園も避難所になっているため、子どもたちは今まで遊んでいた場所で遊べなくなっています。仮設住宅の間取りも決して広くないそうで、ストレスがたまりやすいそうです。そのせいか子どもたちは、遊びの後半にもなると鬼ごっこや馬とび、フリスビーがやりたい!と、体を動かして走りまわる遊びをやりたがります。

保護者の方々からは、「子どもを思い切り遊ばせたいと思っていたので、集会室の遊び場開放は本当に助かる」と言われました。

馬跳びできるぞ!

「ホテル観洋」での遊び場支援も今週が最後に @南三陸町

避難所にもなっている海沿いに建つホテル観洋では、ホテル内のラウンジを子どもの遊び場に提供しています。

女の子のリクエストでまずはクッキー作りを行います。「女の遊びだろ」と強がっている男の子も、チラ見しています(笑)。そんな彼らも誘ってみんなでまずは生地をこねます。

一人一人の作品をトースターで焼いていると、バターや甘い香りがラウンジに広がります。「これあげる!」と私たちにも子どもたちがおすそ分けをしてくれるのも、うれしいものです。

みんなでクッキー作り

そっとオーブントースターに運ぼうね

出来上がり!

ここでもクッキー作りが終わると、子どもたちは一気に活動的になりました。

紙風船でスイカ割りを始める子、新聞紙の棒でチャンバラごっこ、私たちを馬がわりにして「もっと早く~、走れ~!」とお尻を叩く子、とそれはそれは賑やかです。

紙風船のスイカ割り

もう乗れないよー

結でボランティア活動を行った感想

今回会った子どもたちは、一見とても元気そうにしています。

でも、もう元の家には帰れないかもしれないことや、仮設住宅に引っ越すこと、普通ではない状態がこれからも続くことへの“諦め”のような気持ちを持っていました。

6年生の男の子が、ニコニコ笑いながら「うちもね、家と車とみんなの自転車が全部流されたんだよ」とサラっと言うので、こちらがドキっとしてしまいました。ボランティアメンバーの一人は、「どうせもう家には帰れないし」と言っていた子の顔が忘れられないと言います。避難所の子どもたちと別れる最終日、「バイバイ、もう一生会わないけど」と言った子どももいました。

毎回こうやって訪れる私たちボランティアの背中を見送ってきたと思うと、切なくなります。「○○は居ないの?お盆の頃にまた来ると言っていたのに・・・」と、以前に来たボランティアとの再会を待ちわびている子もいました。

子どもたちが安心して遊べる場所は「そこに行けば、自分の知っている人がいる」ということも重要な要素です。

そして「プロジェクト結」では、こうした遊び場がコミュニティ作りに役立つだけでなく、最終的には地元の人たちで運営していくのが最善であり、それが雇用にもつながると考えて支援しているそうです。
ボランティアは毎回短期間現地を訪れることになりますが、その力が少しずつつながって、今回であった子どもたち、人たちへの継続的な支援につながることを願っています。個人的には、ボランティア活動を終えて帰ってからも、サポートを続けていきたいと思いました。

最後に、8期のボランティアメンバーの皆さん、貴重な体験を一緒に過ごすことができ、本当にありがとうございました。

小麦粉ねんどで作った星たち

おまけ:ボランティアみんなの疲れを癒してくれた追分温泉

 

 

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